サムスピの新作が素晴らしい。
管理人の フラッキー(@FurakkY)です。 6月27日にサムライスピリッツの新作が発売されます。気になっていたタイトルなので、体験版をやってみました。そこで、対戦格闘ゲームが廃れた理由も自分なりに改めて見えてきたので、体験版の感想と、私が思うこのジャンルが衰退した理由を語っていきます。
時代に逆行するシンプルなゲーム画面。
まず好印象だったのは、一目で分かるゲーム画面のシンプルな作りです。画像をご覧いただくと分かる様に、体力ゲージと怒りゲージの2本しかゲージが存在しません。昨今の同ジャンルのゲームにおいては、異質です。ですが、ゲージ類が増えると、それに伴ってゲームを遊ぶのに、最低限覚えなけえればならない事も当然増えるので、個人的には非常に好印象です。なお、怒りゲージは怒り爆発状態が終了するとなくなってしまうので、それ以降は体力ゲージのみになります。
過去作より見栄えが良くなったグラフィック
キャラの見た目も、過去作に比べると目に見えて明らかに見栄えが良くなっています。比較材料として、まずSNKヒロインズ Tag Team Frenzyのナコルルの公式動画をご覧ください。目に生気が感じられず、表情が硬いように見えます。正直、ちょっと怖いです。
そしてこちらが、体験版のプレイ動画を録画したものです。能面感がなくなり、肌の質感もはっきり違いが見て取れます。肌がのっぺりした感じがこちらではなくなっている様に思えます。
原点回帰を感じさせるゲーム性
強攻撃一発で、最近の格闘ゲームでは信じられないほど減ります。ゲージ類が2本しかない点からも、恐らく初代サムライスピリッツを意識して、作られたゲームだと思います。連続技が長くなると喰らっている方は、何もできない時間が長くなって、ストレスと不快感が募りやすいので、個人的にはじわじわ体力が削られていくよりも、一発でドカッと減って短時間で勝負がつくゲームの方が好きです。最近では、そんな格闘ゲームを見る事はなかったので、逆に新鮮でした。
親切なデフォルトボタン設定
上の画像は、このゲームのデフォルトのボタン設定です。画像は、タップ・クリックしていただくと拡大表示されます。PS4の付属コントローラーで遊ぶ人にも、なるべく支障がない様に親切なボタン設定になっています。具体的に言うと、このゲームでよく使う同時押しのボタン弱+中がR1に設定されています。この同時押しボタンは、押し返し・攻撃避け・弾き返し・白刃どりに使う非常に使用頻度が高いボタンです。この中には、コマンド入力が必要なものも含まれています。逆に、怒り爆発・一閃などワンボタンで動作が完結するものや使用頻度が低い同時押しボタンは、L1・L2に割り当てられています。細かい事ですし、当たり前と言えば当たり前の事かもしれませんが、この様な気配りが感じられるのは、ありがたい所です。
とは言え、このボタン設定でも、武器飛ばし必殺技は、波動コマンド+L2という入力になってしまいますので、より快適な操作性を求めるならホリファイティングコマンダー等の別売りコントローラーを買うしかなさそうです。これは私も実際に使っているコントローラーで、天板に6ボタン配置されているので、操作性が段違いです。
各種動作のタイミングはシビア
白刃どりや弾き返しなどのタイミングはシビアです。結構手こずります。安定しません。コマンドの受付時間がかなり短い様に感じます。これは、私が下手なだけでしょうから、要練習と言いたいところなのですが…何とこの体験版は制限時間が設定されており、2時間しか遊べません。コマンド入力受付同様、こちらもかなり短めになっております。さすがに、これに関しては「どんな判断や!!」と思わずにはいられませんでした。しかしながら、完成度の高さを予感させるには十分な体験版で、発売がとても楽しみです。無職の私もこのゲームは購入を真剣に検討している所です。下に白刃どりの参考動画を掲載しておきます。
対戦格闘ゲームが廃れた理由を考えてみる。
飽きられたから…でもそれだけじゃない。
1990年代前半。ストリートファイターII をきっかけに、類を見ない対戦格闘ゲームのブームが巻き起こりました。当時私が通っていたゲームセンターも連日大盛況で、20畳ほどの狭い店内に、常に10人以上は客がいる様な状況でした。しかし、そんなブームも90年代後半になると、明らかに陰りが見えました。
毎日賑わっていたゲームセンターはいつの間にか閉店し、自宅から少し遠い店に足を伸ばしてみても、新作に食いついている人もそんなに居ない…。子供ながらに終わりの始まり、衰退が実感できた瞬間でした。衰退の理由としてよく挙げられるのは、同じ様なゲームばかりで飽きられたからという事ですが、振り返ってもう1度考えてみると、それだけが理由ではない気がします。
ゲーム内容と連続技の複雑化
1発辺りのダメージを抑えて、連続技が長く複雑になっていく傾向が時代が進む共に強くみられる様になってきた事も、格闘ゲームから人が離れていく一因になりました。先程も書いた様にこうなると、やられている側は、何も出来ずに一方的にダメージを喰らっているだけという時間が長くなります。また、これによって実力の差をざまざまと見せつけられる羽目にもなりました。初心者は、わざわざお金を払って、そんな目に遭いたいとは思わないはずです。
ストリートファイターII が爆発的にヒットしたのは、それまでになかったゲームだったからというだけではなく、攻撃力が高いゲームで、一方的な展開になった時、たった10秒前後で、勝負がつく事も珍しくなかったゲーム性も一因になっていると私は考えています。
実力の二極化
上手い人とそうでない人の差もブームの衰退期になるとはっきり目に見えて、分かる様になりました。中には、後ろから動きを観察して「勝てそうだ。」と判断したところで、乱入するいわゆる初心者狩りをする者もおり、これも初心者にとっては、マイナス要因になったと言えるでしょう。この頃は、アーケードから家庭用にゲームが移植されるまでのタイムラグが長く、移植された物も現代とは違って、明らかに完全移植とは程遠いものだったので、練習したければ、ゲームセンターに行かざるを得ないという側面もありました。練習したいのに、この様な悪質かつ陰湿な初心者狩りに遭ったら、対戦格闘というジャンル自体が嫌いになったとしても無理はないでしょう。
時期にも恵まれなかった。
仮定の話をしても、結果の確かめようがないので仕方ない事だと承知の上で、敢えて言わせてもらいます。もしも、ブーム全盛期に現在の様な環境が整っていたら、いずれは終わっていたであろうブームも、延命は出来たかもしれないと思います。90年代のこの時期の家庭用対戦格闘ゲームは、トレーニングモードがついているものであっても、今の様に色々細かな設定ができたり、トレーニング中に操作方法や、コマンドリストを確認できるような気の利いたものではありませんでした。
当然、ネット対戦も出来ません。ですから、現在の様に同じ位の実力の人達と、楽しく勝負するのは不可能に近かったのです。もっとも、ネット対戦できる現在であっても、サブアカウントを使って初心者狩りをする人もいますが。
初心者には高すぎる壁。
最近の対戦格闘ゲームを見ていると、チュートリアルひとつとっても非常に凝っているものもあります。チュートリアル中の台詞がフルボイスになっていたり、そのやり取りもちょっとした小芝居の様になっていたり。そもそもチュートリアル自体がなかった頃を知る者からすると、雲泥の差です。メーカーのパイが小さくなっている事に対する危機感と、それに対する企業努力が見て取れます。それ自体は歓迎するべき素晴らしい事だと思いますが、根本的な解決には至っていないと感じます。
その理由は、壁が高すぎる事です。せっかく基本動作や基本的な連続技を音声付で、丁寧に解説してくれても、動作の種類が多く覚えるのにも一苦労。そして連続技は、基本とされている連続技レシピが、信じられないほど長い。もちろん、出来る様になるには練習が必要ですが、レシピを覚えて、何とかダミーには安定して入れられる様になっても、実戦で動く相手に対して、同じ事が出来るかはまた別の話です。テレビゲームは娯楽であるという事を忘れさせるほどのストイックさが上達のためには求められるという現実が、初心者の心を粉末にしてくれます。ただ折るだけでは済ませません。そもそも、現代人は忙しいし、格闘ゲームやらなくても他に楽しい事はいっぱいあるしね。
まとめ。時代に逆行する挑戦的な意欲作。それがサムスピの新作だ。
2時間という制限時間がある中で、ほんの少し体験版を触っただけですが、開発者側の「出来るだけ遊ぶのに、最低限覚えなければならない事を少なくしよう。」という意図は、はっきり感じとる事が出来ました。そして、対戦格闘ゲームが廃れた理由を考えるきっかけにもなりました。初代サムライスピリッツを遊んでいた人間からすると、懐かしさと時代に逆行した事による新鮮さが同居した印象を受けました。製品版でも、期待が裏切られない傑作になっている事を祈ります。
コメント